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J-REITによる海外不動産の取得解禁(日経記事)

今日の日経新聞の一面記事です。

海外不動産の取得解禁 REITテコ入れ

J-REITは、現在でも海外の不動産を取得することは制度的に可能ですが、今まで1件も取得実績がありませんでした。
それを、今回投信法などの関連法を改正することで、海外投資をしやすくする、というのが狙いです。

さて、この記事では、『日本の不動産投信が海外のSPC(特別目的会社)の株式の過半を保有できるようにして、実質的に海外不動産の保有に道を開く。』(一部引用)とあります。

しかし、今まででも海外の不動産を購入可能だったのに、「株式の過半を保有できるようにする」ことが、なぜJ-REITが海外投資を行う際のハードルを下げることになるのか、という肝心の理由があまり書いてありません。

かなり専門的で難しくなるのですが、調べてみました。


City Centre Mall Dubai UAE / austinevan


この「他法人の株式の取得割合制限の撤廃」というのは、J-REITの海外不動産取得が解禁されて以降、ずっと課題になっていたことのようです。

それは、外国の不動産の取得についての税金の問題があったことが大きな要因です。

当初、2008年に海外不動産の取得が解禁された際に、REITの専門サイトである「JAPAN-REIT.COM」の関さんのコラムに書かれた記事が分かりやすいので、引用させていただきます。

(以下、JAPAN-REIT.COMより)
『J-REITにとって実質的に最大のリスク要因となっている点が、外国税額控除です。外国税額控除とは、外国での納税額を国内での納税額から控除できる制度ですが、国内の法人税が課税されていないJ-REITの場合、控除できる税額が存在しません。つまりJ-REITは海外で不動産を取得した場合、投資国での納税負担がそのまま発生してしまうことになります。

この点を回避するためには、SPCを組成し現地での法人課税を受けない形にする必要があります。
しかしJ-REITは、他の法人(但し、資産流動化法に基づく特定目的会社を除く)に対して50%を超える出資を行うことができません。つまり海外SPCを組成するためにはスポンサー会社など他の投資家とJ-REITが相乗りするしか方法がないことになります。』

まとめると、従来は、
<現地の不動産を直接購入すると、海外での法人税負担が発生して利回りが低下してしまう>
 →
<不動産を直接買うのではなく、海外の法人経由で投資したいが、従来の制度では他社の株式の50%超をREITが所有することは認められない>
 →
<海外不動産への投資がしたくてもできない>
という問題がありました。

そもそも、不動産は国によって制度や慣習が大きく異なる商品なので、投資する側としては、直接海外の物件を購入するのではなく、SPCなどの法人の株式や持分取得を通じて、間接的に投資するのが現実的だと思います。
従来の制度ではそれが難しかったといえます。

今回の記事によると、おそらくREITを規制している投信法と、税制(租税特別措置法?)を改正することで、この問題を回避できるようにする、ということのようです。

難しくて面倒くさい、という方は、日本のREITも海外の物件を本格的に買えるようになった、と受け取って頂ければそれで良いと思います。

その他の点については、記事のとおりで、新興国などの不動産を組入れることで、海外の機関投資家などにもっとJ-REITを買ってもらいやすくなる点や、先日紹介したイオンREITなど、海外進出する日本企業の物件の受け皿になることで、資金調達をサポートできる、といったメリットがあると思います。

それにしても、最近の日銀による継続的なREIT買い入れや、今回の制度改正のニュースなど、REIT活性化に対する国の意気込みを最近特に感じますね。

JUGEMテーマ:資産運用


       
コメント
わかりやすい解説でとても勉強になりました。ただ、一点疑問に思ったのですが、税制についても改正されるというのは新聞記事に言及があったということでしょうか(会員ではないので、該当の日経記事は読めていないのですが。)?おそらく、SPCを使ったスキームで、現地での課税は回避するという意味合いではないかと思ったので、今回の改正は投信法だけで、税制については含まれないのかなと感じました。
  • D
  • 2012/09/26 11:09 AM
Dさん、コメントありがとうございます。
記事では「2013年の通常国会に提出する投資信託法の改正案に盛り込むとともに、税制も見直す見通し。」とだけで、それ以上詳しい内容は書いてありませんでした。

租税特別措置法では、投資法人の分配金損金算入の要件として、「他の法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の百分の五十以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有していないこと。」(67条の15)というのがあります。
http://nzeiri.sppd.ne.jp/hojin/18/soho/67_15.htm

推測ですが、日本のREITが海外のSPCを保有した場合でも、現状と同じように法人税非課税とするために、投信法とあわせて、この50%ルールを適用外とする税制改正をしないといけない、ということではないでしょうか。
  • shimo
  • 2012/09/26 9:35 PM
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