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不動産鑑定士で開業したらどのくらいコストがかかる?

士業は他の業種に比べてランニングコストが低く、開業のリスクは相対的に低い業種です。
とはいえ、事業計画を検討するには、売上サイドの計画だけでなく、費用サイドの見積もりも当然しないといけません。

自分の本業の不動産鑑定士の場合を例に、事務所の運営に必要な支出をまとめてみました。

士業も他の業種と同じように、事業の経費には、売上の大小に関わらずかかってくる固定費と、売上や仕事量に応じてかかる変動費があります。

1.固定費


・事務所家賃
 固定費の中で最も大きい項目です。
 どこで開業するか(東京or地方)によっても大きく違います。東京都心であれば、小さい事務所でも月10万円ぐらいはかかります。(私は家賃の高めの場所で開業しているので、もっとかかっています)
 鑑定士は自宅で開業する人も多いですが、その場合はかかりません。
 また、家賃以外に水道光熱費や通信費(電話、ネット)ももちろんかかります。

・鑑定協会の会費
 士業の場合、一般的に業界団体への加入が義務付けられています。
 不動産鑑定士の場合も、下記の取引事例の取得などの実務上の必要性から、開業する場合には実質的に全国と都道府県の協会への加入が必須です。
 会費は以下の通りです。(鑑定士1人の鑑定業者の場合)

 鑑定士協会連合会・・・年額91,200円
 東京都鑑定士協会・・・年額104,800円

 会費の詳細はこちらです。東京以外は各都道府県のHPを参照ください。
 日本不動産鑑定士協会連合会 入会のご案内
 東京都不動産鑑定士協会 入会のご案内

・取引事例閲覧基本料
 鑑定協会でデータベース化されている、土地の取引事例を閲覧するのに必要なシステム基本料です。
 最近の制度改正で新たに導入されました。

 乙種基本料・・・年額84,000円 (全国の取引事例を閲覧する場合)

・複合機リース料
 コピー、FAX、スキャナーがセットになったものを使っている人が多いです。
 私はリースではなく買い取りなのですが、知り合いの鑑定士はリースが多数派です。
 リース料は機種にもよりますが、月額1万5千円ぐらいが多いようです。

・事務所の水道光熱費
 電気代、水道代、通信費(ネット、携帯等)、宅急便や切手代など全て入れると、1人の事務所でも1〜1.5万円/月ぐらいはかかるでしょう。

・アットホーム(ATBB)の会費
 賃貸事例を取得するのに使っている鑑定士が多いです。
 基本料+従量課金で、料金メニューはいろいろありますが、私は月額固定1万2千円(50件まで)+超過分従量課金の契約をしています。
 (参考)ATBB 不動産調査・成約事例

・税理士報酬
 個人事業主で青色申告を自分でやる場合はかかりません。
 法人化したり、個人でも記帳や決算、申告を税理士に依頼する場合には、業務内容次第ですが年20万円ぐらいはかかります。

・その他
 パソコン、備品の買い替え費用
 鑑定業者の賠償責任保険など

事務所を借りて開業する場合、全て合計すると固定費だけで年間200万〜250万はみておく必要があるでしょう。


2.変動費


・交通費
 遠方の交通費や宿泊費は依頼者に請求できることも多いですが、調査のための近場の電車移動やバス・タクシー、ガソリン代などは当然支出となります。

・謄本取得費用
 法務局やネット(登記情報システム)で登記簿や図面を取得した場合の経費です。
 これも依頼者に請求できる場合が多いですが案件によっては報酬に込みで事務所負担となります。

・取引事例取得費用
 最近取引事例の閲覧制度が改正され値上げされました。
 地価公示の評価員であれば、自都道府県内の事例は1件525円、他県の事例は1件1,575円です。
 通常の鑑定評価では、自分の都道府県の案件しかやらないとしても、評価を年間50件、1件あたり6件の取引事例を取得すれば、525円×6件×50案件=年間約16万円となります。

・住宅地図取得費用
 鑑定業務には必須のゼンリン住宅地図ですが、紙ベースで買うと市区町村ごとに1万5千円ぐらいかかるため、大手事務所でないとそろえるのは難しいです。
 中小の事務所では、下記の住宅地図取得サービスを契約していることが多いです。この場合、全国どこでも1件525円で、データも毎年更新されるので便利です。
(参考)Nifty ゼンリン住宅地図サービス

・アットホームの事例費用
 上記のATBBで、固定の課金分を超えて利用するとかかります。

・複合機カウンタ料金
 複合機はリース、買取いずれの場合でも、印刷・コピー枚数に応じてカウンタ料金がかかるのが普通です。業者や契約によりピンきりですが、私の場合月1万円〜2万円ぐらいです。

・その他
 コピー用紙、事務用品、トナー代(複合機の場合は保守料やリース料に込み)など。

税金や社会保険はややこしいので入れていませんが、売上1,000万円を超える場合には、個人でも法人でも課税業者となり消費税の負担が発生する点も重要です(開業後2年はかかりません)。


以上、固定費と変動費を合計すると、不動産鑑定事務所の経費率はざっくり3割ぐらいではないでしょうか。
これは他の士業でもそれほど大きな違いはないと思います。

経費率から逆算すると、独立して年収1,000万円稼ぐためには、経費を考慮すると1,500万円ぐらい売上が必要になります。
個人的な感覚ですが、独立開業してサラリーマン時代と同じ可処分所得をキープするには、サラリーマン時代の給与×1.5倍ぐらいの売上を稼がないといけないでしょう。

士業は人件費や仕入原価がほとんどかからないので、他の業種(販売や飲食、サービス業など)より固定費割合が低いのは事実ですが、それでも一つ一つ積み上げると、経費は結構かかるということは知っておいてよいと思います。

(追記)
固定費の大きな部分を占める家賃をカットするために、「自宅で開業すればいいのでは?」と思う人もいると思いますが、自宅での開業にはデメリットもあります。
それについてはまた別の機会に書きたいと思います。

<関連記事>
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