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あまり知られていない小規模企業共済のデメリット(掛金減額のケース)



先日、お邪魔したFP事務所インテレクタスさんの小規模企業共済セミナーで、小規模企業共済の盲点ともいえる重要なポイントを知りました。

それは、小規模企業共済独自の特殊な共済金の計算方法と、加入後に掛金を減額した場合のデメリットです。
既に掛金を減額している自分としてはなかなか痛い話でした。

(注)そもそも、小規模企業共済制度とは何ぞや? その特徴と基本的なメリット、デメリットについては、こちらの過去記事もご覧ください。

(関連記事)
小規模企業共済のメリット・デメリット(その1)
小規模企業共済のメリット・デメリット(その2)

掛金を増減した場合のシミュレーション


小規模企業共済の掛金は月1,000円〜70,000円までの範囲で設定でき、加入後の増減も基本的には可能です。自分も、独立当初、マックスの月7万円積み立てていましたが、途中で4万円に減額しました。

掛金を増減した場合の共済金計算方法については、中小機構のHPに次の記載があります。

『途中で掛金月額を増額している場合の共済金の額は、増額前の掛金月額による掛金納付月数と、増額部分の掛金納付月数について、それぞれ計算を行い、それらを合計した額となります。また途中で減額をしている場合も、それぞれの掛金月額による掛金納付月数について計算を行い、それらを合計した額となります。』

中小機構:小規模企業共済: 共済金の額の算定方法より)

これを読んだだけではよく分かりませんので、具体的に、掛金増額時、減額時の例を示します。
※以下、中小機構の<小規模企業共済のしおり>、FP事務所インテレクタスさんの資料を参考に管理人が作成。

1.掛金増額の場合
<ケース>
加入者:個人事業主Xさん、加入期間15年間
・H25.4 掛金10,000円/月で加入
・H35.4 掛金を30,000円/月に増額(+20,000円)
・H40.3 事業廃止(退職)により、共済金A(※)を一括受取


※小規模企業共済の共済金には、受取事由に応じてA、B、準共済金の3種類があり、共済金Aが最も高いです。本ケースでは共済金Aを受け取る前提とします。

この場合の掛金の積立イメージは、10,000円/月で初めて、10年後に30,000円/月に増やしているので、次のようになります。
ここでは、当初の積立額10,000円に対応する部分を(a)、上乗せ額20,000円に対応する部分を(b)とします。



この場合の、共済金の受け取り額は次の通りです。
小規模企業共済の基本共済金は、予定利率に基づき、掛金月額と納付月数に応じて一律で決まっています。右端の「共済金A」の額は、公表されている最新の共済金額をそのまま使っています。



そして、加入期間途中で掛金を変更した場合、図のように、加入期間を通して変わらなかったベース部分(a)と、増減した部分(b)を分けて、それぞれの掛金額と加入月数に基づき、別々に共済金を計算します。

例では、ベース部分10,000円(240ヶ月)と、中途増額した20,000円(60ヶ月)が分けて計算されます。一つの加入契約なのに、受取共済金はあたかも別々の契約のように計算されるのがポイントです。

2.掛金減額の場合
<ケース>
加入期間:15年間
・H25.4 掛金30,000円/月で加入
・H30.4 掛金を10,000円/月に減額(▲20,000円)
・H40.3 事業廃止(退職)により、共済金Aを一括受取


続いて、1.とは逆に、途中で掛金を減額した場合です。
当初5年は30,000円に設定していて、6年目以降10,000円に下げた場合を想定します。

この場合の、積立イメージと受取共済金の額は次の通りです。






掛金減額によるデメリット


増額時と減額時を比較すると、両方とも、積み立てた掛金の合計額は300万円、受け取れる共済金Aの合計は3,253,800円で全く同じです。

この結果だけ見ると、同じ金額を積み立てて、同じ金額を受け取っているので、「途中で減額しても不利ではないのでは?」と思ってしまいそうになります。

しかし、加入期間15年間のうち、はじめの5年間に多めに納付した2.と、最後の5年間に増額した1.で、受取額が全く同じというのは直感的にオカシくないでしょうか。

実は、上記の2.の図のうち、減額した(b)の部分の減額前の積立額(120万円)については、減額した平成30年4月以降、共済金を受け取る平成40年3月までの10年間は、一切運用されていないことが分かります。

かといって、中途解約すると元本割れしてしまうため、解約も簡単にはできません。
結果的に、この120万円分は、廃業や老齢給付により共済金をもらうまでの間、自由に使えず下ろせないのに、金利が一円も付かない状態で放置されます。掛金を変更しない場合と比べると運用利回りは大きく低下してしまいます。

このような結果が生じるのは、掛金のベース部分と増減部分を分けて考え、それぞれの納付期間のみに基づいて共済金を算定し、単純に合計するという特殊な計算方法のせいです。


減額してしまったらどうするか


とはいっても、私のようにすでに減額してしまった場合にはどうすればよいでしょうか。
考え方としては、減額のデメリットを補うために減額分を復活させる方法と、割り切ってそのままにしておく、という二通りがあると思います。

・減額分を復活させる
セミナーで伺ったところでは、減額分の掛金を再度増額して復活させると、増額分については加入期間を通算して計算してくれるとのことです。

例えば、上記2.で、H35.4に再度掛金を3万円に戻したとすると、掛金3万円だった期間が10年(120ヶ月)に増えます。すると、上乗せ部分2万円については、5年+5年=120ヶ月加入していたものとして共済金の計算が行われるので、利回り的には減額したままよりも改善します。

・節税メリットは変わらないので割り切る
小規模企業共済の本来のメリットは、納めた掛金が個人の所得からまるまる控除される節税効果です。途中で掛金を減額したとしても、このメリット自体は変わりません。

また、小規模企業共済は、中小企業者の貯蓄をサポートする制度なので、国債中心のローリスクローリターンな運用が行われています(現在の予定利率は1%)。減額した分を自分で運用した方が、結果的には高いリターンにつながるかもしれません。

悩ましいところですが、自分としては減額分の復活はせず、後者の「割り切り」方針で行こうと思います。

今回ご紹介した点は、中小機構のHPや共済のしおりなどを見ても、明示的に説明されているわけではなく、ネット上でも情報が少ないです。

どちらにしろ、掛金減額時のデメリットが大きいのは間違いないので、節税メリットを追求するあまり、加入時にマックスの掛金を設定するのはやめた方がいいと思います。

あとで増額もできますし、事業の収入との兼ね合いで、最初は十分払えそうな掛金額にして加入するのがよいのではないでしょうか。

<関連記事>
小規模企業共済のメリット・デメリット(その1)
小規模企業共済の運用実績資料が送られてきた



       
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