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NPO法人ARUN Seedの「ソーシャルインベストメントスクール」に行ってきました

ARUN Seedの「ソーシャルインベストメントスクール」(初級編)に参加しました。

ARUN Seedは、カンボジアやインドで社会起業家に投融資を行っている「ARUN合同会社」の姉妹NPOです。
先日の「日経ソーシャルイニシアチブ大賞」で、国際部門賞に選ばれたARUNの代表、功能聡子さんの話を聴き、関心があったので申し込みました。



セミナーは13時から18時まで、懇親会もあって中味の濃いスクーリングとディスカッションでした。
参加者は、実際に途上国でNPOやNGOの活動をしている人から、大手証券会社の人まで幅広く、関心の高さを感じました。

・社会的投資の概念はまだ曖昧
 「ソーシャルファイナンス」「ソーシャルインベストメント」「インパクトインベストメント」などさまざまな言葉があり、考え方も幅広いです。
 
 国内では、NPOバンク、市民出資ファンド、SIB(ソーシャルインパクトボンド)、セキュリテ、クラウドファンディング各社などが広く当てはまりそうですが、経済的リターンの有無や、事業の目的、位置づけもまちまちです。

・社会的投資の定義は?
 海外でもいろいろな定義があります。
解説があった中では、Global Impact Investing Network (GIIN)の定義にある、4つの要素がしっくりきました。

1)An impact investment provides capital to a business(ビジネスに対する資金提供)
2)with intent to(意図、意思をもって)
3)generate positive social and / or environmental impact(社会的なインパクトを生み出す)
4)alongside financial returns.(経済的リターンとともに)


2)の、社会的インパクトを生み出す「明確な意図」があるかが大きなポイント、と功能さんからも話がありました。

・社会的インパクト評価の難しさ
 社会的投資の大きな課題は、株価や利回りのように数字で測れない社会的なリターンをどう客観的、定量的に評価・測定するかという点です。

 ある事業の結果、「雇用が○○人増えた」「農家の収入が○○%上がった」というように、定量的に測れる場合もあります。ただ、社会的リターンは、お金を出す投資家ではなく、投資先の国や地域の人々が享受するものなので、何をどこまで成果とするのか、定性的かつ長期的に測らざるをえない面も多いです。

 国際的にも、指標設定型、プロセス中心型などさまざまな評価手法があって、確立していないそうです。
 現地の投資先やユーザーのインタビューなどに基づく定性的な評価も行われていますが、特に機関投資家のお金を呼び込むには、納得感があり、比較可能性(案件間、時系列)のあるソーシャルリターンの評価方法を確立できるかもカギになります。

・寄付や援助ではなく「投資」である意味
 無償の援助ではなく、リターンを求める投資だからこそ、投資先の自立と自律的な成長を促すという考え方です。
 ここは、国際協力の現場にいるNGOなどの参加者も、「援助の限界」と「ビジネス的観点の必要性」を口にされていました。
 
 ちょっと視点は違いますが、「かわいそうだから助ける」のではなく、「相手の自立を促す」という考え方は、以前講演を聞いた、テラ・ルネッサンスの鬼丸さんの話や、障がい者雇用で成果を上げているエフピコグループ(ダックス四国)の且田さんの話とも相通ずるなと感じました。

 ARUNでは、社会的意義が大きいのに金融機関の手が届かないようなスタートアップ時の企業で、かつ、マイクロファイナンスが対象とするような小規模零細でもない、間の部分(=Missing Middle)をカバーしています。

・投資先選定プロセスはボトムアップそのもの
 社会的投資もビジネスを見極めることに変わりはないので、投資先の選定方法は、ファンドのボトムアップアプローチととても似ています。

 ARUNでは、候補企業の中から、経営者と理念、財務、社会的インパクト、持続性、将来性・・・という多くの項目を検討し、実際に投資先と対話を重ね、出資者による投資委員会での議論を経て決定していきます。
 
 言語や文化の違い、法制度の問題(担保をどうするのか等)、投資実行後のモニタリングの難しさ・・・など、先進国の上場企業に対する投資とは比較できない大変さだろうな、と話を聞いていて思いました。
 
 ARUNでは、今のところ、6社に対しトータル130万ドル強の投資、融資を実行し、1社以外はきちんとリターンが得られています。
 投資先はこちら。→ ARUNが投資する社会的企業


社会的リターンと経済的リターンの両立、と簡単に言いますが、実際にはまだまだ試行錯誤が続いていて、評価の問題を中心に課題も多いです。
日本では、金商法など制度の問題もあって、個人としての投資の選択肢もまだ限られます。

一方で、海外では資金規模の大きいファンドなどがたくさんあり、機関投資家や援助機関のインパクト投資額も増えています。
例えば、アメリカの「Acumen Fund」(アキュメン)は、2001年設立以来、8,300万ドルを投資しているとのこと。
大きな流れとしては、こういった分野が拡大方向にあるのは間違いないと思います。

(参考)少し古いですが、アキュメンファンドCEOの講演録。
アキュメンファンドの新しい取り組み-ジャクリーン・ノヴォグラッツ氏の講演録 |東京財団
「純粋な慈善活動と無制限の自由市場の間」「忍耐強い資本(patient capital)」などのフレーズも出てきます。




セミナーの最後に、めでたく「修了証」を頂きました。

普通のマネー関係のセミナーとは違って、初めての知識が多く、時間が過ぎるのが早かったですね。
ポイントポイントでグループワークもあって理解が深まりました。
ARUNの皆さん、参加者の方々、ありがとうございました。



       
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