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ソーシャルインパクトボンド(SIB)のセミナーに参加しました(その1)

11/19に日本財団ビルで開催された、「ソーシャル・インパクト・ボンド」(SIB)のセミナーに参加しました。

「ソーシャル・インパクト・ボンド」セミナー開催 | 日本財団

ソーシャルインパクトボンドセミナー@東京開催!:ソーシャルインパクトボンドジャパン

イギリス発のSIBは、日本でも今年からパイロット事業が動き出しています。
個人が直接資金を出せる環境はまだありませんが、社会課題の解決と民間のお金をつなぐ新しい試みで関心を持っています。




○ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)とは

投資家から資金提供を受けた民間の事業者(NPOや企業)が、行政と連携して社会課題解決につながる事業を行います。
事業の結果、行政コストの削減や社会的なインパクトなどあらかじめ決められた目標を達成したら、行政から事業者に成果報酬が支払われる仕組みです。削減された行政コストの一部は投資家のリターンとなります。


G8インパクト投資タスクフォース国内諮問委員会のSIBパンフレットより転載)


こちらのオフィシャル動画がとても分かりやすいです。



○SIBと従来の行政サービス委託との違い

SIBには関連当事者がたくさんいます。
各ステークホルダーの関わり方のイメージです。

プロジェクト全体をコーディネート、マネジメントする「中間支援組織」や、事業成果を評価する第三者評価機関がいるのが特徴です。


日本財団「ソーシャル・インパクト・ボンド」セミナー開催案内の添付PDFより転載)


行政サービスの民間委託自体は日常的に行われていますが、SIBが従来と違うのは、次の3点です。

1.成果連動型の支払契約
事業者側は、活動経費に見合った見積額ではなく、あくまで「成果に応じて」「事後的に」報酬を受け取ります。
逆に言うと、行政側は、事前に合意した事業ごとの目標(ex. 就労者増加、再犯入所者の減少・・・)が達成されない場合、費用が発生しません。

2.民間資金供給者によるリスクテイク
成果が出なければ一銭ももらえないとなると、事業を受託するNPOや企業はいなくなってしまいます。そこで、民間資金供給者(=投資家)に最初に資金を出してもらい、事業実施費用をまかないます。

3.生産性向上とイノベーション促進
これは従来との違いというより、SIBのメリットです。
NPOや企業は常に「成果」を求められるので動機づけとなり、一方の行政側は、民間の力を使って課題解決をしつつ行政コストが削減できます。かりにうまくいかなくても予算の無駄にならないので、新しいチャレンジもしやすくなります。


○投資家だけがリスクを取っている?

・・・と、以上を見ると、行政は、事業がうまくいかなければ支払い義務が発生せず、サービス提供者は少なくとも事業費分は最初に出してもらえるので、結果的に、資金提供者=投資家だけが自分のお金が返ってこないリスクをかぶっていることになります。

SIBの進む欧米でも、資金提供者の82%は、インパクト投資家と言われる財団や篤志家などで、リターンにこだわる金融機関は2割未満(ゴールドマンサックス、ABNアムロなどが実績)にとどまるとのこと。

投資家の立場からは、SIBそのものの実績が少なくリスクが見積もりにくいだけでなく、そもそもリターンに対してリスクが大きすぎるのが本質的な問題です。

そこで、リスク補完として、証券化でも多用される優先劣後スキームを入れたり、財団等の非営利組織による元本保証、事業者の一部出資(セイムボート的?)など、リスクをシェアして民間投資家のお金が入りやすい工夫がされているそうです。

例えば、2012年に始まった、アメリカ初のSIBであるニューヨークの再犯防止プログラムは、ゴールドマンサックスが投資していましたが、成果が出ず打ち切りになりました。
本来ならGSのお金は全損となりますが、ブルームバーグ財団が投資額の一部を保証するスキームを取っているので、GSは投資額960万ドルのうち120万ドルの損失で済んだとのこと。

(参考)【アメリカ】ゴールドマン、米国初のソーシャル・インパクト・ボンドプロジェクトを中止 | Sustainable Japan


○海外のSIBの歴史とプロフィール

※配布資料がなかったので、会場の画面と説明の聞き取りです。細かい数字が違っていたらすみません。
(2015/11/24追記)
当日のスライド資料がアップされています。

ソーシャルインパクトボンドセミナーの提示資料を公開しました!:ソーシャルインパクトボンドジャパン

SIBは、行政コスト削減ニーズの高まりから、2010年にイギリスで始まり、5年間で10ヶ国40件以上に増加しています。残高も、2010年:9億円 → 2014年には157億円(累積投資額)と大きく拡大しました。

地域的にはイギリスが29件と最多、次いでアメリカが10件です。
分野別では、「若者就労支援」が34%、「生活困窮者支援」が26%、「子ども・家庭支援」が21%と続きます。

規模は、1〜5億円の小規模なプロジェクトが47%と最多ですが、10億円以上の案件もあります。
事業期間は1〜3年以内が約6割、3〜5年、5年超が各約2割で、数年にわたるものも珍しくありません。

SIBは関係当事者が多く、スキームのセットアップ(ビークル設立や各種契約、ドキュメンテーションなど・・・)にコストが相応にかかり、短期間では回収しにくい面があるためとのこと。
自分も、不動産証券化に初期から関わっていたので何となく分かりますが、このあたりは、案件数が増えて、スキームや契約内容が標準化されてくれば徐々に改善していくのかなと思いました。

下記ページで具体例が紹介されています。今までは、社会福祉分野での活用が多いです。
事例一覧:ソーシャルインパクトボンドジャパン / Social Impact Bond Japan

前半はここまで。
後半は、日本国内でのSIB事業と、課題についてです。

ソーシャルインパクトボンド(SIB)のセミナーに参加しました(その2)

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【関連記事】
「社会的インパクト投資の拡大に向けた提言書」を読みました

「寄付白書2015」の発行サポーターになりました

ARUN Seedの社会的投資レポートをクラウドファンディングで応援


       
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