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企業・投資家・証券アナリスト 価値向上のための対話【読了】

企業と投資家の対話(エンゲージメント)の具体的な方法を解説した実務本です。
バイサイド、セルサイド、そして企業・IRという三者の立場から、第一線の実務家14人が執筆を担当しています。

執筆者の一人、コモンズ投信CEOの伊井さんが紹介されていて知りました。




「執筆者のストーリーに共通しているのは、企業価値を長期的な視点から捉えることの重要性を指摘している点である。」

(「まえがき」より)


日本でも、スチュワードシップコードによって、企業の長期的・持続的な成長を促すために、投資家と企業との「目的をもった対話」の重要性が示されました。

ただ、最近よく聞くこの「対話」という言葉、実際にはどのようなことをしているのか、なかなかピンと来ない面もあります。

本の前半では、運用会社などバイサイドの実務家が、具体的にどのような手法、プロセスで投資先企業とのエンゲージメントを行っているのか、かなり詳しくノウハウを開示しています。実際に企業とのミーティングで使っている資料や、そこまで見せていいの?という内容もあって、「対話」の実際がかなりつかめました。

また、「対話する投資家」と「モノ言う株主」は違うということも明確に示されています。
企業価値を持続的に高めるためのコミュニケーションが対話であって、株主にもっと利益をよこせという要求は対話ではありません。

株主価値極大化を目的とするROE、増配、自社株買い、キャピタルストラクチャーの議論は、企業価値増大につながらない限り、企業価値という限られたパイを債権者等の他のステークホルダーと取り合うことを意味する。企業価値増大がない中で、株主価値を極大化しようとすることは、他のステークホルダーとのWin-Lose関係を意味するものであり、到底持続的なものではない。(中略)持続的企業価値増大があって初めてステークホルダー間のWin-Win関係を築くことが可能なのであり、結果として株主にとっての価値も増大すると我々は信じている。」

(第2章「長期投資家の責務と企業との対話」より)

ただし、「長期投資」という点は共通でも、運用理念や運用プロセスが異なれば、エンゲージメントの方法や企業への関与の度合いも異なります。
※バイサイドで執筆しているのは、以下4社の方々です。
農林中金バリューインベストメンツ、あすかコーポレイトアドバイザリー、コモンズ投信、フィデリティ投信

個人投資家がアクティブファンドに投資する場合には、そのファンドの運用哲学と整合性のあるエンゲージメント活動になっているか、議決権行使なども含めて見るべきですね。

後半の、セルサイド側の章は、証券アナリストから見た一般論的な部分もありますが、いわゆる非財務情報やESGを企業価値の分析にどう取り込んでいくかなど参考になりました。


さて、エンゲージメントというと、アクティブ運用のプロセスの一つのように語られますが、本書では、パッシブ運用でのエンゲージメントにも言及しています。

日本株のパッシブ運用の問題として指数そのものの性質があるとしています。
外国株式の場合、MSCI、S&P500のように一定基準で選別された指数が主流ですが、日本株のインデックスファンドは、TOPIXを用いるものが大半です。
TOPIXは一部上場企業全部をカバーします。上場している限り、例えばガバナンスがムチャクチャな会社でも指数から外れません。構成企業数も約2,000社と膨大です。

パッシブ運用でエンゲージメントするとしても、2,000社のごく一部にしか働きかけることができず、コスト対効果の点で見合いません。また、企業側もTOPIXでは指数の対象に選ばれようとするインセンティブが働きません。欧米との指数の違いが、日本のパッシブ運用で対話が進まない原因の一つとの指摘は納得がいきました。

コモンズ投信関連でいくと、伊井さんのほか、コモンズ30ファンドの投資先企業であるオムロン取締役の安藤聡さん、エーザイCFOの柳良平さんも企業の立場で執筆されています。

アクティブファンドや個別株で長期投資をしている方、コモンズ30ファンドの受益者にもおススメの本です。

企業・投資家・証券アナリスト 価値向上のための対話
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「投資信託をもうちょっと身近に感じてみよう」勉強会・第2回(スパークス・アセット・マネジメント 清水裕さん)

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